忘れ去られた寒村 五郷 [有田]
和歌山県有田郡有田川町(旧清水町) 五郷地区
山深い渓谷沿いのわずかな平地に、貼り付くように集落が散在している。
袋小路のような地形のため、この五郷地区に用事でも無い限り、通ることのない道。
そのため、地元有田の人でも、五郷地区を知らない人が多い。
この地区唯一の学校であった五郷小学校が休校になったとき、
初めてこの五郷地区を知り、訪れたことがある。
鄙びた山里で、昭和初期にタイムスリップしたような、懐かしい感じがとても印象的だった。
杉野原御田舞2 [有田]
いよいよ御田舞の始まりです!
1時になり、まずは社務所から舞の参加者達が一列になり「御渡り」の神事が始まる。
一行は河津明神社へ向かい、明神さんにお参りをする。
ボクはもう1時間ほど御田舞のメインの舞台である阿弥陀堂の真ん前を陣取ろうとスタンバイしているので、
その様子を遠くから眺める。
杉野原御田舞の一番の見所、裸苗押の褌姿の男達が入場する。
威勢の良い掛け声、太鼓の音が鳴り響く中、男達は円陣を組んで「柴燈(さいとう)」と呼ばれる
囲炉裏のようなものの周りをグルグル回り出す。
写真で見るより以上に迫力があり、見応えがありました。
普通に撮るとこんな感じ。
ぶらした方が動きが出て良いですね。
裸苗押には謡い囃しがあり、23番まであるらしいです(^^ゞ
なので、結構長い間グルグル回っていましたね。
それでも、「ソレ、テンヤト、テンヤト、テンヤササ、テンヤササ」という合いの手に煽られるように、
番を重ねるごとに盛り上がっていく感じです。
パンフレットに歌詞が一部掲載されていたので引用します。
1.榊ばんや、立ちぼう袖に、追風に、備な
追風に、追風に、立ちぼう袖に追風に、備な
2.春来れば、若木に匂う、梅の花、備な
梅の花、梅の花、小枝にさえずる、鶯の声、備な
3.此の御堂に、建てたる柱は、何柱、備な
何柱、何柱、白金黄金の、巻柱、備な
4.降る雪は、花かと見れば、枝もなし、備な
枝もなし、枝もなし、雲こそ枝なれ、花を散らすぞ、備な
5.白鷺は、門のとびらに巣を掛て、備な
巣を掛て、巣を掛て、如何なる闇にも、月と輝く、備な
6.西の海、漕ぎくる船は、何船ぞ、備な
何船ぞ、何船ぞ、十四・五艘の、黄金船かよ、備な
7.熊野山、切部が王子の、梛の花、備な
梛の花、梛の花、萬の人が、笠のうわざし、備な 以下つづく
昔は立春が正月、この御田舞もその意味では新春の行事です。
春を慶ぶ歌が続きます。
日本は言霊の国というのがこの歌詞を見ても分かりますね。
言葉にしたことが現実になる。そう信じられてきたからこそ
今年も良い一年であって欲しいという願いが23番もの長きに渡って込められ、
代々歌い継がれてきたんだと思います。
この御田舞自体も、今年も豊作でありますようにという願いが込められているんですよね。
神様の前で稲作の全工程を舞ってみせることで、実際の稲作もうまくいくと信じられてきた訳です。
ところで、この裸苗押を撮り終えたらサッと帰ってしまう人が意外に多かったのが残念でした。
確かに杉野原御田舞といえばこの場面の写真が主に使用されますし、
これから後の舞は裸苗押に比べると地味です。
でも、せっかくこんな山深いところに来たんですから、御田舞を味わい尽くせばいいのに・・・と思ってしまいます。
とにかく、舞はこの後も稲作の工程をなぞるようにして進んでいきます。
でも、見てるだけじゃあ、何を舞っているのかいまいち分かりにくい。
パンフレットの説明を見ながら、「フムフム、今の舞はこういう意味か」と、
舞とパンフレットとファインダーをかわりばんこに見続ける。
以下パンフに書いてあった舞の順序を引用します。
1.かいなんだし
2.世の中踊り
3.四方鍬
4.岸刈 水向
5.牛呼
6.牛呼世の中踊り
7.牛に祝詞
8.水向
9.牛洗
10.肥さがし
11.野草ふみ
12.堂塔ぼし
13.祝詞
14.種蒔
15.芽干し
鳥追(現在は演技しない)
16.水向
17.福女踊り
18.こせあい
19.こぞにもよう
20.若取苗
21.福万子の苗(田植)
22.穂参らせ
23.田刈
24.籾すり
舅(しゅうと)が聟(むこ)に稲作を教えるような形で進んでいきます。
かいなんだし 舅、聟、田刈の三人が舞います。
このような鍬を打つ動作は何回か登場します。
たまにこういう激しい動きもあります。
御田舞のマスコットキャラ的存在。牛君です(^^ゞ
地元小学生5人が演じる田植子の登場です!・・・・でも、あんまり顔は出してくれない・・・
舞の終了は3時くらいですかね。約2時間の大舞台でした。
舞の主役である、舅、聟、田刈の3人は舞終了後汗だくでしたね。
舞は終了しましたが、そのあと、くじ引き、餅なげがありました。
この辺初午との関連が見受けられますね。
ちなみに私は撮影しながら餅を拾うという甘い作戦を実行した結果、
餅は5つ、写真は惨敗という結果に・・・まさに二兎を追うもの何とやらです(^^ゞ
くじ引きの様子
杉野原御田舞 [有田]
有田川町(旧清水町)の杉野原御田舞に行ってきました。
今では近くの久野原の御田舞と隔年で2月11日に交互で行われています。
いわゆる田楽が由来だと言われる、五穀豊穣を祈願する行事ですね。
稲作の一連の工程を舞にしているんですが、
他の地区の類似行事と一番違うところは、
他のはほとんど田植えにあたる舞で終了するのに対して、
杉野原のは収穫までの全行程を舞うのが特徴です。
舞が演じられる「舞台」は雨錫寺阿弥陀堂と呼ばれるお堂なんですが、一般的なお寺のお堂とはまた違った風貌です。
写真のように壁が無く、茅葺きっていうところも変わっています。
ちょうど神社の舞殿のような建物に阿弥陀様が祀られているような感じですね。
私が到着した頃には、雨天にもかかわらず、多くのカメラマンや観光客で賑わっていました。
隣の社務所のような広間では着々と御田舞の着付けがなされていました。
ちなみにこの御田舞を演じるのは全員が男性。
江戸時代、かつては女性が演じていた歌舞伎は(創始者出雲の阿国も当然女性)
売春行為など風紀を乱す事が目立ちだしたため、
女性が演じることを禁じ、しかも笛や太鼓などの「伴奏」付きでないといけないという
厳しい規制がかかりました。
それから歌舞伎は今のような形へと発展するわけですが、もしかしたら、
こういう田楽の類もその規制の余波を受けて、男性が演じるものになったのかも知れません。
そういえばこの杉野原御田舞もずっとお囃子さんの太鼓と唄声が響いていました。
もちろん、これは私の勝手な仮説ですけどね~!
卒論のネタを探している大学生は間違ってもこれを参考にしてはいけませんよー!
境内にはテントが張られ、うどんやおにぎり、有田川町の特産物が売られていた。
こんなんだったらコンビニでおにぎり買わんでも良かったなぁ。
といいつつ、カメラマン達がおいしそうにうどんをすする姿を見て
ついついうどんを買っちゃう。当然おなかパンパンです(^^ゞ
このほか、限定版の清水の山椒も入っている七味味のかっぱえびせんや、
子供へのおみやげ用に地元の方手作りの飴ちゃんを購入。
新宮での散財が効いて、もう財布にはお札はない・・・
でも、5円玉くらいならある(笑)
雨錫寺の阿弥陀様と、隣に鎮座する河津明神社にお参りして、いよいよ御田舞に臨む!
つづく
ああ反省の日々・・・in 湯浅 [有田]
正月は嫁の実家である湯浅でいることが多かった。
子供らが遊び疲れてまったりとしている昼下がり、何回か湯浅の町中をカメラ片手に歩いてみた。
最近、古い街並みを残す湯浅に、カメラを持った人を多く見かける。
私自身昔は湯浅の学校に通っていたこともあり、なじみ深いまちではあるんですが、
こんな風にがっつりと町中を撮ったことがなかったんです。
このわんこは、飼い主の女の子に石ころでいじめられていたにもかかわらず、
服従の姿勢を貫いていたけなげなわんこです。
その女の子、写真を撮られなれているのか、カメラを向けても嫌がることなかったんですけど、
どうも知らん子供を撮るのは後で面倒なことになるのがイヤなので撮れなかった。
この辺がまだまだ甘いなあと自分で思う・・・
このわんこは、喫茶店でくつろいでいるご主人様をジーッと見つめていた、けなげなわんこです。
私が写真を撮ってもお構いなしで、喫茶店を凝視していました。
仲良しにゃんこ三匹組です。
この家の前が熊野古道なんですが、多分この子達撮られなれてるんでしょうね。
私が撮っているのもお構いなしでひなたぼっこしてました。
何か動物によく出会った一日だなあ・・・
今思うと、こんなに撮られなれている動物たちなんだから、
もっと触れあうとか、何かコミュニケーションをとっておくべきだった。
そうすればもっと面白い写真が撮れていたかも知れない。
年が明けても、やっぱり反省、反省の日々。
いつかは反省しようのない写真、いや、作品を撮ってみたい!
自分にしか撮れないもの [有田]
和歌山を撮るって言っても、いざやってみると結構範囲が広いんですよ。
あーだーこーだ悩んでも仕方がないと言い聞かせて撮り続けるんですけど、
ただがむしゃらに撮っているだけでは本当にとりとめがなくって・・・
こういうものが撮りたいという指標がないからだと思うんです。
いや、正確に言えば、指標がたくさんありすぎてまとめきれていないんだと思います。
ひとまず、自分にしか撮れないものは何かというのを考えてみた。
でも、どれもこれも人の足跡がべっとり付いた所ばかり。
結局、「ふるさと」というキーワードに舞い戻る。
ふるさと和歌山は範囲が広いんだったらもっと限定してはどうか?
自分が生まれ育った有田市、それも辰ヶ浜をもっと撮ってみるのはどうなのか?
答えは合っているか分からないけど、
これからはことあるごとに生まれ育ったまちを撮ってみようと思う。
テトラ [有田]
おまえしかいてへんねん [有田]
貴重な体験!? [有田]
とある台風直撃の日、急に風がやみ、あたりがフッと明るくなった。
外を見ると雲に切れ間が出来て光が差し込んでいる。
テレビを見るとちょうどうちのあたりが台風の真ん中だし、
勢力を維持している台風だし、、、これは台風の目に違いない!
カメラ片手に準備もそこそこに家を飛び出した。
台風の目って、もっと厚い雲がナイアガラの滝のように
360度パノラマでそびえ立っているものだと思っていた。
確かに360度パノラマなのだが、雲が思ったより薄い。
18-50mmでは台風の目の全部をとらえることが出来ずもどかしかった。
まもなくあたりは真っ暗に、そして再び雨風が強くなってきた。
早々に退散した。
中々体験することの出来ないことなのだが、
いざ体験してみると意外にあっけなく、こんなもんか?っていう感じ。
写真の方も「これ、台風の目なんよ!」って言わないと分からない・・・